ドナウの誓い:王冠を背負う猫騎士

ドナウの誓い:王冠を背負う猫騎士

その名は"ミクローシュ・ドゥルジャ"。パンノニア平原に生まれ、ドナウの水音を子守唄に育ったヨーロピアンショートヘアの雄猫。彼の家系は代々、王冠に忠誠を誓ったフスザールの血を引く。 マジャルサーベルを初めて握ったのは、まだ幼い頃。鋼の冷たさに触れたその日から、彼の目には戦士の炎が宿った。厳しい鍛錬と儀礼の学びを経て、ついに"ドリーニィ"の刺繍を許され、王国騎士団の一員となる。 しかし、時は動乱。トルコ勢力がドナウを越え、ブダ城に迫るという報が国を震撼させる。騎士団は集結したが、敵軍は予想を超える規模だった。ミクローシュは自ら志願し、前線の斥候隊に加わる。 夜明け前、金色の草原を抜けた先で、敵の動きを察知。彼はひとり城へと急ぎ戻る。道中、追っ手に囲まれるが、俊敏な剣技と機転で突破。ドナウのほとりで最終の橋を渡りきったとき、マジャルの旗が朝焼けに染まりはじめていた。 報せを受けた騎士団は防衛線を整え、奇襲を回避。ブダ城は守られ、王はその功績によりミクローシュを"王冠の守猫(ヴェーデル・コロナ)"として讃えたという。 今も彼の剣は城の一室に飾られ、春になるとドナウの岸に咲く花の下、子猫たちは"ミクローシュのようになりたい"と夢を見る。

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