波濤を超えて — ポルトガルの猫騎士と大航海の誓い
"ドン・アズール"と呼ばれたその猫は、リスボン王宮の奥で生まれた。
だが彼は宮廷の甘やかな暮らしに甘んじず、幼き日より海を見つめては遠い世界を夢見ていた。16歳のとき、偉大なる航海士ヴァスコ・ダ・ガマの記録を読みふけり、自らの魂に海と冒険の血が流れていることを悟った。
王の命を受け、彼は甲冑をまとい、航海図を腰に巻き、ポルトガルの誇りであるフェア・デ・アームを手に、異国の海へと出航する探検団に加わった。航海の先には、交易だけでなく、信仰と文化を守る戦いが待っていた。
東方の大嵐、アフリカの灼熱、そして南米の密林—どの地でもドン・アズールは仲間を励まし、先陣を切って道を拓いた。その姿に多くの船乗りが勇気づけられ、「海に現れし灰銀の騎士」と讃えられるようになった。
最後の航海から帰還した彼は、王より直々に"カヴァレイロ・ド・マール"の称号を賜り、ベレンの塔にその像が建てられたという。
今もテージョ川の夕暮れ、塔のほとりで波音を聴けば、遠き海原に向けたドン・アズールのまなざしが、そっと背中を押してくれるという——"恐れるな、風は常に探求者の味方だ"。
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