森と誓いのマオリ猫騎士
その猫の名は"テ・マナワ"。マオリ語で「心臓、魂」を意味する名を持つこの猫は、かつてニュージーランド南島の密林で生まれ育った。
彼は普通の猫ではなかった。部族の族長が神託により選んだ"聖なる守り手"として育てられ、幼い頃からタアイアハの舞と儀礼の所作を教え込まれてきた。タア・モコに倣った銀の兜は、代々の戦士のみが着用を許されたものであり、その模様には祖先の物語と名誉の記憶が刻まれている。
ある年、マナポウリ湖の彼方から不吉な煙が上がった。外来の侵入者が聖域に足を踏み入れ、シダの森を荒らし始めたのだ。人々は畏れ、静かに撤退を始めたが、テ・マナワは立ち上がった。
彼はケイケイを羽織り、赤黒の戦装束を身にまとい、ひとりタアイアハを携えて岩の尾根へと向かった。言葉を発することはなかったが、その佇まいと瞳の奥に宿る力が、やがて侵入者の心を打ち、彼らは森を後にしたという。
戦わずして森を守ったテ・マナワの伝説は今も語り継がれている。月が満ちる夜、マナポウリ湖の岸辺では、羽根が揺れる音とともに一匹の猫の影が密やかに森を見守る姿が目撃されるという。祖先と大地に誓った静かなる守護者、それが"マオリ猫騎士 テ・マナワ"である。
タグ
猫騎士 ニュージーランド マオリ タアイアハ ケイケイ タア・モコ ニュージーランド・ショートヘア 精霊 伝統武器 英雄伝説