クメールの守護猫・サンラ
遥かなる時代、クメール王朝の栄光が熱帯の森に響いていた頃──蓮池のほとりに、ひとりの猫騎士がいた。
その名はサンラ。淡い砂色の被毛に黒の斑、そして翡翠のような瞳を持つクメール・ストリートキャットの雄。彼はアンコールの蓮花を守る誓いを胸に、寺院の奥深くで育った。
ある日、蓮池に妖しき影が忍び寄る。アンコールの神像を奪い、王国の力を断たんとする闇の戦士たちが現れた。サンラは静かに儀礼用ケープを羽織り、金装飾が輝く兜をかぶり、神聖なるクメール・ダを携えて立ち上がる。
緑濃きジャングルをすり抜け、霧に煙る蓮池を渡るサンラの足取りは軽やかにして鋭い。彼の一太刀は朝露のごとく鋭く、流れるような剣さばきで敵を制し、ついには寺院の秘宝を守り抜いた。
その戦いの後、蓮池に浮かぶ花はひときわ大きく咲いたという。サンラは今もアンコールの風に耳を澄ませ、静かなる守護者として王国の記憶を見守り続けている。
タグ
猫騎士 英雄伝説 クメール・ストリートキャット カンボジア クメール王朝 伝統武具 クメール・ダ アンコール遺跡 ファンタジー