太陽と翡翠の誓い — メキシコ猫武士の伝説

その猫の名は、トナティウ・シエンブラ。 かつて、ジャングルの奥深くにある村で生まれた彼は、太陽の加護を受けたと信じられていた。金色に輝くその瞳は、アステカの神官さえも畏れを抱くほどに神秘的だった。 幼い頃、村はスペイン騎士団の襲撃により滅亡の危機を迎えた。だがトナティウは、古代の神殿に眠る「チマラ」を手に、太陽の神へ祈りを捧げた。そして戦士の証として祖先の羽根飾りと、征服者のプレートアーマーを身にまとい、敵陣に立ち向かった。 重厚な盾と翡翠の刃が火を噴くように舞い、彼は一匹で敵の軍勢を押し返した。その姿はまるで、古の神が現世に舞い戻ったかのようだったという。 戦の後、彼は村に戻らず、チチェン・イッツァの石段を最後に姿を消した。だが今もユカタンの密林では、朝焼けの中に赤と緑の羽根をなびかせる猫の姿が見られるという。 人々は信じている——トナティウは再び、神々と民の誓いを護るために現れると。