ヒマラヤを守る猫騎士・カルナ
ヒマラヤの霧が静かに山々を包む朝。ストゥーパの鐘の音が響く頃、猫騎士カルナは祈りの旗の下に姿を現す。
カルナはヒマラヤンキャットの雄。雪渓のように白い被毛に岩影のようなグレーが交じり、深いエメラルドの瞳は湖と空を映し出す。生まれはカトマンズの北、風と祈りの間にある小さな村。幼い頃、山岳の盗賊によって村が襲われ、彼はひとり残された。だが、村の僧たちに育てられ、カルナは静かな誇りと祈りの心を学ぶ。
成長した彼は、祖国を守るべくネパール王国の猫騎士となる。彼が携えるのはククリ──鋭く反り返るネパールの魂を宿した剣。その手に宿る決意は固く、どんな雪嵐にも揺るがない。
ある夜、カトマンズの寺院群に忍び寄る影──略奪者たちが聖なる仏塔を狙っていた。カルナは黙して立ち上がる。祈りの衣をまとい、曼荼羅を背に、剣を抜く音だけが静寂を裂く。
一太刀、また一太刀。彼の剣は敵を裂くと同時に、土地に刻まれた祈りを守っていく。略奪者を退けた後、夜明けと共にヒマラヤの風が吹く。その風に、祈りの旗が静かに翻る。
カルナは、いまもストゥーパの影で静かに佇んでいる。剣を鞘に収め、瞳は遠くアンナプルナの稜線を見つめる。彼は戦いのために剣を抜くのではない。守るべき祈りと平和のために、その足を前へと進めるのだ。
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