森を護る猫騎士・ライザン

森を護る猫騎士・ライザン

遥かマダガスカルの高原に、島の自然と精霊を守る猫騎士がいた。名をライザンという。彼は「森の守人」として知られ、フランジパニの香る林の奥に生きていた。 ライザンはマダガスカルフォレストキャット、鋭い眼差しと霧をまとうような灰色の毛並みを持つ、精悍な戦士であった。ある日、外の世界から伐採と略奪の風がこの楽園にも届き始めた。聖なるツィンギェの岩山が砕かれ、バオバブの古木が倒される音に、森の精霊たちは悲しみを訴えた。 ライザンは、静かにキリピカを帯び、装甲に祖霊のレリーフを刻んだ鎧をまとい、立ち上がる。ドンゴロラのマントをたなびかせ、彼はひとり、密林の奥へと進んだ。敵は技術と数に勝っていたが、ライザンには森の加護と知恵、そしてなにより自然への深い敬意があった。 斜陽が地平線を照らす頃、森の深奥で風が止む。その場に残されたのは、倒された重機と祈りのような静寂だった。ライザンは敵を退けたのではなく、森に語りかけるようにして彼らに引かせたのだ。 戦の後、ライザンは再び林の奥へと姿を消した。だがその名は伝説となり、今もバオバブの木陰に佇む猫の影を見る者は、こう言う──「あれはライザン。この島の魂を守る者だ」と。

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