太陽のクリス — フィリピンの猫騎士伝説

太陽のクリス — フィリピンの猫騎士伝説

その猫の名は"アマラン"。ビサヤ諸島の奥地で生まれ、幼き日より部族の長に見いだされた特別な存在だった。 彼が持つのは、祖先より継がれた波刃のクリス。これはただの剣ではない。太陽の力を秘め、真に勇気ある者のみが扱えるとされる聖剣であった。 ある日、山間の村を呑み込もうとする黒い霧と共に、侵略者が現れる。誰もが恐れ退いたそのとき、アマランは静かに鎧を纏い、赤きピナ織のマントを翻して立ち上がった。 黄金の羽根冠が太陽の光を受けて輝くと、村人は希望を見いだし、彼の背に続いた。アマランはただ剣を振るうだけでなく、祖霊と語らい、大地と心を通わせ、敵の心までも変えていった。 伝説によれば、戦いののち、彼はバナハウ山の頂で静かに姿を消し、今も尚、クリスを手に守護神として村を見守っているという。 今も村人は語る。「日の昇るとき、山を見よ。そこに金色の目をした猫が立つならば、我らは守られている」と。アマランは、ただの戦士ではない。フィリピンの誇り、そして永遠の英雄である。

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