くしゃみとびっくり図書館のひみつ

くしゃみとびっくり図書館のひみつ

その日の夕方、雨がようやく止んだころ、ベルはお気に入りのアンティーク図書館で本棚の間を歩いていました。 ベルはペルシャ猫の女の子。ふわふわの長毛とまんまるの琥珀色の瞳がチャームポイントです。 首元にはビジューの首飾り、赤いクロークには繊細なレースがあしらわれ、まるで小さな女王さまのよう。 静まりかえった書斎で、ベルはそっと鼻をくすぐる埃の香りにくしゃみをしました。「ハックション!」 ……その直後、カチリと音がして、一冊の本棚がゆっくりと開き始めたのです。 目をまん丸にして驚くベル。そこには見たこともない秘密の階段が——。 驚きと好奇心を胸に、ベルは一歩ずつ階段を下りていきました。そこには古代猫の王国の記録が眠る「失われた図書室」が広がっていたのです。 ベルのくしゃみが導いた、小さな冒険のはじまりでした。

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