ハープの調べとアビシニアンのしっぽ
舞台に静かに光が差し込むと、そこには一匹のアビシニアンが座っていた。名はルナ。凛とした瞳としなやかな体躯を持つ彼女は、世界でも珍しい“猫の音楽団”の中でも、特に人気のハープ奏者だ。
今夜の演奏会は、動物たちのためのチャリティコンサート。満席のホールには、うっとりした表情のネコたちと、ほんの少し緊張気味の犬たち、そして拍手の準備万端な人間たちが並んでいた。
ルナは深く一礼し、両前足をやさしく弦に乗せる。音が鳴る瞬間、会場が一瞬にして静まりかえった。彼女の奏でるメロディは、草原の風のようにやさしく、心の奥に響くものだった。
指揮をとるのは白いスコティッシュフォールド、チェロはマンクス、ティンパニはおおらかなラグドール。猫の個性が楽器に現れているようだった。
1曲終わるたびに、客席からは“にゃーん!”という歓声と拍手。特にルナのソロパートでは、涙を拭うおばあさんネコの姿もあった。
演奏会の最後、ルナは軽くしっぽを揺らして会釈し、そっと退場した。
観客たちの心には、彼女の音色とともに「音楽って、毛の種類を超えるんだね」という温かな余韻が残された。
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