なつのえんがわとふたりのこねこ
ある夏の夕方、風鈴の音が静かに鳴る古い家の縁側で、ふたりのソマリの子猫、ルウとトトは麦わら帽子をかぶって座っていました。
ルウは大切にしているねずみのおもちゃをぎゅっと抱え、となりのトトはそんなルウを見て、ちょっぴりくすっと笑います。「ねえ、トト。ぼくたち、あした竹林の奥まで行ってみようか?」とルウがつぶやきます。
「うん。でもその前に、ママに聞いてみないとね」とトトが答え、ふたりはまた縁側からゆっくりと広がる竹林を眺めました。
そのとき、涼しい風がそよいで、葉っぱたちがカサカサとささやくように揺れました。ふたりは並んでしばらくその音に耳をすましながら、夏の終わりの静けさを感じていたのです。
その晩、ルウはねずみのおもちゃを抱いたまま、ぐっすりと夢のなかへ。夢ではふたりは竹林の奥で宝物を見つけ、ふわふわの風にのって帰ってきました。
そして次の朝、目をさましたルウはトトに言いました。「やっぱり、今日、冒険に行こう!」
縁側に並ぶふたつの麦わら帽子が、朝の光にやさしく輝いていました。
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