書斎で眠るチンチラの子猫

しんと静まり返った真夜中の書斎で、ひとりの小さな子猫が、ふわふわの長い毛をくるんと丸めてぐっすり眠っていました。名前はノア。絹のようなシルバーグレーの被毛に、ちいさなレースのチョーカー、そして丸眼鏡。まるでどこかの学者さんのような出で立ちです。 本棚に囲まれたその小さな机の上には、古い地図や分厚い本が並び、月明かりがやさしく差し込んでいます。ノアの小さな胸は静かに上下し、ときおりぴくりと耳を動かします。 実はノアには秘密がありました。夢の中では、彼は空飛ぶ本の上に乗って世界を旅する冒険家なのです。この夜も、静かにまぶたの裏で旅が始まりました。雲の上をすべり、星と話し、遠くの島にたどり着いて… やがて夜明けの気配が忍び寄ると、ノアはふわりと目を細め、しっぽを胸に巻き直しました。「また明日の夜に続きを見よう…」 そうしてノアは、またそっと夢のページを閉じたのでした。