滝のほとりの光の導師ペルシャ

ある深い山の奥、訪れる人もまばらな神秘の滝「ルミナの雫」。そこにぽつんと鎮座する大きな丸石の上で、目を閉じ静かに佇む1匹のペルシャ猫がいた。 名は「ルクス」。この地に迷い込んだ登山者によって語り継がれ、いつしか“光の導師”と呼ばれるようになった存在だ。朝日が差し込むその瞬間、ルクスの背後にはまるで後光のような光が現れ、見た者の心を穏やかにするという。 村では「ルクスに出会えた日は良き転機が訪れる」と言われており、悩める人々がときおり訪れては石の下に腰をおろし、滝の音とともにその姿を眺める。 この日も一人の旅人が心を癒され、静かに涙を流しながらルクスに手を合わせていた。何も語らず、ただそこにいるだけで人の心を包み込む。そんな不思議な力を持つ猫が、今日もまた誰かの人生に静かに寄り添っている。