春を待つロシアンブルーの親子

雪深い山の奥、冷たい風が木々を揺らす昼下がり。そこには、親猫“ノル”と子猫“ミミ”のロシアンブルー親子がひっそりと身を寄せ合っていた。 木枯らしと吹雪に包まれる中、ミミが「ねえママ、いつになったら春はくるの？」と小さな声で尋ねると、ノルは優しく微笑みながらこう答えた。「春はちゃんと、私たちのことを覚えてるわ。だから、もう少しだけがんばろうね。」 親子は少しだけ目を閉じ、互いの体温を頼りにしながらじっと時を待った。寒さの中でも、母と子の間には確かなぬくもりがあった。 すると、吹雪の合間にどこからともなくほのかな花の香りが漂い、小さな陽射しが雲の切れ間から差し込んだ。ノルはその光に気づき、「ほら、春が来た合図よ」とミミの耳元でささやいた。 その瞬間、2匹の灰色の毛並みが光を反射し、まるで春の精霊のように輝いて見えた。遠くの林からは小鳥のさえずりも聞こえ始め、ついに待ち望んだ春がロシアンブルーの親子にも訪れたのだった。