天を翔けるコラットと竜の旅

世界の果てにある「風の谷」と呼ばれる場所には、一匹の不思議な猫が住んでいた。その名は“サイ”。輝くグリーンの瞳と灰銀の毛並みをもつコラットで、空を見上げては、いつか高く飛ぶことを夢見ていた。 ある日、谷に一匹の竜“ファルド”が降り立った。古の契約により、竜は一生に一度だけ「空を目指す者」を背に乗せるという。サイの真っ直ぐな眼差しに心を動かされたファルドは、そっと言った。「君を、空へ連れて行こう。」 そして今、ふたりは空を翔けている。川の上空、風を切り、雲を突き抜けながら。 サイは竜の背中にしっかりと足を掛け、目を輝かせていた。恐れなどひとかけらもない。なぜなら今、夢は現実になりつつあったからだ。 谷の住民たちは空を見上げ、ふたりのシルエットを見て歓声を上げた。 「小さな体でも、大きな夢を叶えることができる」——サイの飛行は、そんな希望をみんなに届ける風となった。