窓辺のベルと春の音
春の朝、柔らかな光が差し込む窓辺に、チンチラの三兄弟——ラルフ、ミロ、トト——が並んで座っていました。
彼らは、そよ風に運ばれてきた小鳥のさえずりに、ぴくぴくと耳を動かしながら静かに庭を見つめていました。ラルフの首につけた金のベルが、わずかに揺れて小さな音を立てます。レースの襟がふわりと風に揺れ、彼らはまるで時間が止まったような一瞬を楽しんでいました。
けれどそのとき、ミロが「あれ、聞こえた?」と小さな声を上げました。よく聞くと、鳥のさえずりに混じって微かに「チリン、チリン」と同じ音がもうひとつ聞こえてくるのです。
三匹はそっと立ち上がり、音のする方へ視線を向けました。庭の花の向こうに、同じようなレースの襟と金のベルをつけたもう一匹のチンチラ猫がいたのです。その猫はふとこちらを見て、にっこりと微笑むように瞬きをしました。
三匹は顔を見合わせ、ゆっくりと庭へ降りました。新しい友だちと過ごす春の日が、今まさに始まろうとしていたのです。
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