いかだの上のトム

いかだの上のトム

ある日、トムは冒険のつもりで港から少し離れた小舟に飛び乗りました。けれど強い風に流され、気がつけば遥か沖合。小舟は壊れ、木のいかだだけが彼の足場になってしまいました。 陽は昇り、波は静かに揺れています。でもトムの服はすでにボロボロ。小さな体で風と太陽にさらされながらも、彼は希望を捨てず、遠くに見える緑の島をじっと見つめていました。 「きっと、あそこには魚も木陰もあるに違いない…」と心の中でつぶやきながら、トムはそっと片方の前足を重ね、風向きを読むように耳を動かしました。 どんなに心細くても、猫には帰る場所を見つける力がある——それを信じて、彼の旅はつづきます。

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