 
  オーロラの番人:フィンランドの猫騎士
 その猫の名は"アイノ"。北の森に生まれ、雪原を駆け、星の下に育った。
彼はただの戦士ではない。極北の地に生きる者たちの夢と希望、そして静かな祈りを背負った番人だった。祖母から譲り受けたサーミの槍は、狩りの道具であると同時に精霊たちと語らうための儀礼具でもあった。
ある冬、森の奥で大嵐が吹き荒れ、村の子どもが行方不明になった。人々は祈りを捧げるが、誰も深い雪の森に入る勇気を持たなかった。
だが、アイノは迷わずケープを翻し、吹雪の中へ進んだ。雪を裂きながら進み、槍の穂先に宿ったルーンの力に導かれるように、彼は子どもを見つけ、氷結した湖を越えて帰還する。
村に戻ったとき、夜空にはオーロラが舞い、彼の瞳の中にも緑の光がきらめいていた。人々は言った。「彼は森の守り神だ」と。
その夜以来、アイノの話は北極圏の民のあいだで語り継がれ、彼の姿を模した彫像がタイガの入口に立てられたという。今でも冬の夜にオーロラが現れると、子どもたちは囁く。
「きっと、アイノが見ていてくれる」。 
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