龍の如き将軍猫
その猫は「霊岩の将」と呼ばれていた。
霧深き山水の地、南嶺の関所を守る将軍——名はリェン・ユウ。生まれながらにして龍李猫の血を引き、幼き頃より武を極めた彼は、忠義と礼節を重んじる将として知られていた。
彼の象徴たる武器「青龍偃月刀」は、かつて伝説の関羽が振るった刃の鋳型から作られたといわれ、その刃紋は龍が水面を泳ぐように優美であった。
山文甲の鎧は、すべて彼の一族が手作業で鍛えたもの。ひとつひとつの鱗に、忠義・勇気・節義の三文字が彫られているという。
ある朝、北方より霧を切って現れた敵軍。その数十倍の兵を前に、リェン・ユウは披風を翻し、たった一言を放った。
「龍は逃げぬ。風を裂いて立つのみだ」
この戦いの後、彼の姿を見た者はいなかった。しかし山水の絵に描かれる龍の瞳は、いつしか猫の形を宿すようになったという——。
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