飛翔トースターと万華鏡猫の重力チェス

存在しない曜日の午前13時、重力が液体のように波打つピラミッド型カフェ。そこには毛並みが時間を巻き戻す改造メインクーンの老猫がいた。その片目は万華鏡のように回転し、もう片方は未来を映す水晶体。その頭には意思を持つ金属リボン——時折AIカメラに冗談を投げるリボンだ。 テーブルの上では、空飛ぶトースター軍団がカリカリに焼けたパンを振りまきながら、猫とテレパシーでチェスを指している。猫の対戦相手は、実は完全に透明なもう一匹——見えるのは影だけだが、存在感は濃厚。 窓の外にはプリズムスペクトルに染まる逆さま未来都市と、空を泳ぐクラゲビル。猫が駒を動かすたび、盤上に虹色の光と黄土色の砂嵐が踊る。 「人生もチェスも、すべては存在しない曜日にしか本当の勝敗が見えないのさ」と悟りの笑みを浮かべる猫。メビウス曲面の虹色スペクトラムがきらめく中、頭のリボンがぽつりと「次はトーストでチェックメイトだ」とつぶやいた。