山霧の守り手
その猫は、山と霧と共に生きてきた。玉山の朝もやが晴れる頃、彼は静かに現れる。
肩には祖霊の加護を織り込んだ羽根飾りのショール、鎧は山藤を編み込んだ藤甲。目には台地の記憶と、仲間を守るという強い意志が宿る。
かつて祖先たちが歩んだ道を、今この猫が辿る。茶畑の風が揺れるたびに、彼の周囲には精霊の囁きが漂うという。
名もなき戦士の名を人は知らぬ。ただ彼を「山霧の守り手」と呼び、敬意を込めて茶の葉を手向けるのだった。
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