満開の桜を見てほしい猫
春の陽射しがぽかぽかと降り注ぐ午後、一軒家の窓辺にそっと現れたのは、近所でも有名な“キジトラのハル”。
ハルはいつも自由気ままに暮らしているが、この日は特別だった。満開の桜が風に揺れ、あまりにも見事な景色に、ハルはいてもたってもいられず、誰かに見せたくなったのだ。
彼は静かに窓に近づくと、ガラス越しに肉球をぺたんと押し付けて、じっと中にいる“ぼく”の目を見つめる。
「見てごらん、今年の桜はとびきりだよ」
その眼差しと仕草は、まるでそう語りかけているようだった。
ぼくはすぐに窓を開け、ハルを迎え入れた。ふたりで並んで窓辺に腰かけると、春風がふわりと吹き抜け、花びらがひとひら、部屋の中に舞い込んだ。
その瞬間、何とも言えない幸せな空気が流れた。
桜と猫、そして心を通わせたひととき。それは、春の中で最も美しい一場面だった。
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