霧深き森を駆ける仔猫
夜明け前、まだ霧が濃く漂う森の中——。
一匹の小さな仔猫「ルゥナ」が音もなく駆けていた。
その体はシャム譲りの細身と、虎のような縞を持ち合わせ、光の乏しい森の中でも凛とした姿が際立っている。
首元には、幼き日に母猫が巻いてくれたマフラー。ボロボロになっても彼は決して外さない。それは、家族と過ごした短くも温かな日々を覚えているため。
この森には"境界"がある。猫たちの言葉で「彼岸の木立」と呼ばれる霧の深い道。
彼は今、その境を越えようとしていた。逃げるためではない。探しに行くためだった——まだ戻らぬ兄の姿を。
走るたび、地面が跳ね、霧が裂ける。まるで誰かに導かれるように。
その瞳の奥には、幼さと覚悟、そして誰よりも強い"願い"が宿っていた。
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