伝説のゲーセンキャット

1989年のある夜。ネオンが瞬き、ゲームの効果音が鳴り響く下町のゲームセンター「ハイスコア」。そこに現れたのは、一匹の猫——名前は「レオ」、アメリカンカールの雄だった。 レオはいつしか常連客たちの中で“ボスキャット”と呼ばれるようになっていた。理由はただひとつ、誰よりも強いから。 ゲームは格闘アーケード。彼は前足で正確にスティックとボタンを操作し、必殺技を連発。人間相手に連勝を重ね、ついには“50連勝”の記録を打ち立てる。 その日も、子どもから大人まで人だかりができる中、レオは冷静にプレイ。対戦相手が焦るほどに、彼のコンボは冴えわたった。 誰もが笑い、驚き、応援する。レオの存在は、ゲームセンターに新たな“家族”をもたらしていた。 「次は誰だニャ？」そう言っているかのように、レオは静かにスティックに前足を添えた——。