江戸の火消し猫と赤い半纏

江戸の町が最も賑わう昼下がり。火消し組の詰所前には、真っ赤なまといと、威厳あるキジトラ猫『虎之助』の姿がある。虎之助は鮮やかな赤の火消し半纏を粋に羽織り、隊員たちが出動の準備をする様子を落ち着いた黄緑色の目でじっと見守っている。 火消したちは「今日も虎之助が見張ってくれてるから、無事故で行けそうだ」と口々に笑い合い、詰所をあとにする。新入り隊員も虎之助に撫でられると一人前と認められるという伝説もあり、町の子どもたちにも人気だ。 精悍な表情の虎之助は、火消しの士気を高め、町の安全を見守る守り神のような存在。町人たちからも「火事と喧嘩は江戸の華、でも火消しの華は虎之助」と親しまれ、今日も頼れる詰所の顔として、堂々と江戸の町を見守り続けている。