時を巻き戻すオルゴールキャットの幻想ダンス

雨上がりの早朝、歯車とうねる譜面が渦巻く"音楽機械の夢世界"で目を覚ましたのは、青い目をきらめかせる白黒の雑種猫"ムジカ"。しっぽの先は虹色に光り、極端に長い尾はまるで魔法のリボン。宙に浮かぶ巨大なゼンマイ仕掛けのオルゴールの中、ムジカは重力を無視して華麗にダンスし、浮遊する音符バルーンをくるくると追いかける。 しかし、そのダンスには秘密があった。ムジカがしっぽでゼンマイを巻くたび、時計の針が逆回転し、過去の楽しいメロディや忘れた記憶が世界にあふれ出す。気がつけば、巨大な時計の針も音符も譜面も、みんな彼の踊りとシンクロしはじめる。やがてムジカは時を操る道化師となり、音楽と時間を思いのままに巻き戻す伝説の存在へ。 雨上がりの透明な空気と、夢と現実の境界があいまいな機械仕掛けの世界で、ムジカは今日も時を遊び、音符とともに無限のワルツを踊り続けている。