白猫アルゴ、最後のデバッグ
壁に掛けられた古びた時計が、深夜2時を指していた。
白い巻き毛をもつ老猫、アルゴは、部屋の暗がりの中で一心不乱にキーボードを叩いていた。
彼はかつて、猫界初のソフトウェアエンジニアとして名を馳せた天才プログラマー。
しかし最近は視力も衰え、バグの山に悩まされる日々が続いていた。
この夜、彼が向き合っていたのは、長年温めていた「ねこ型AI補助脳」のコード。未来の若い猫たちが言葉を持ち、夢を語れるように——そんな思いで組み上げてきた。
だが、最後のモジュールに謎のバグが現れた。
画面には、まるであざ笑うかのように緑色の虫のイラストが表示されていた。
アルゴの表情は焦りと絶望に満ちていた。
それでも、彼は諦めなかった。
静けさのなかでキーを打つ音だけが部屋に響く。
そして——
時計の針が3時を打ったとき、彼の手が止まる。
目を見開いた彼の顔には、やわらかな安堵の色。
バグは消えた。コンソールには「Ready to purr.」の文字。
アルゴはそっと目を閉じ、ほほえみを浮かべた。
未来へ、静かな祝福が贈られた夜だった。
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