夕焼け小道の子猫

ある春の夕暮れ、小さなオレンジ色の子猫が田舎道の真ん中でおすわりしていました。まだふわふわの毛並みを持つその子猫は、首に巻かれた赤いバンダナがとてもよく似合っていて、まるで冒険に出かける準備をしているかのようです。けれど今はそんな気配はなく、まんまるの目を閉じて前足をそっとぺろり。おててをなめるたび、しっぽがふるふると揺れて、満足そうな表情を浮かべていました。\n\nまわりの草むらには小さな虫たちが飛び交い、やわらかい風がバンダナの端を揺らします。夕日がだんだんと沈むにつれて、空と子猫の毛並みが同じ色に染まっていきました。見る人の心をきゅんとさせるほど、自然で、あたたかくて、しあわせなひととき。\n\nこの子猫にとっては、ただの日課かもしれません。でも、そんな何気ない仕草が、世界のどこかで誰かを笑顔にしていることもあるのです。