森に溶ける瞳

森に溶ける瞳

誰も足を踏み入れない古の森には、森と心を通わせた一匹の猫が住んでいた。毛並みは木々の苔に似た緑がかり、目は木漏れ日のような黄金色。人々はその猫を“モリノカミ”と呼び、自然の守り神として語り継いだ。 ある日、迷子になった少女アミが森に入り込み、不安と寒さでうずくまっていた。すると、すっと茂みの中からその猫が現れ、アミに寄り添った。 猫はゆっくりと森の奥へ歩き出し、まるで「ついておいで」と言っているようだった。アミは導かれるままに歩き、小さな光の差す場所にたどり着くと、そこには人々が探していた村の捜索隊がいた。 猫はアミを見届けたあと、そっと森の緑に溶けるように姿を消したという。それ以来、森に感謝の木札を捧げる習慣が村に根付いた。

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