祭りのあと月夜に帰る猫

リオのサンバカーニバルが終わり、熱狂の夜が静寂に包まれた。街灯と月明かりが淡く路地を照らし、賑わいの名残として散らばった紙吹雪とリボンが道を彩る。 ひとり歩くのは、柔らかな短毛とエメラルドグリーンの瞳を持つブラジルの雑種猫。豪華な羽根飾りは斜めに傾き、首元の宝石チョーカーも少し緩んでいる。祭りの余韻をまといながら、少し疲れた優しい表情で、猫はゆっくりと家路につく。 振り返れば、光の消えかけた山車や、遠ざかる人影。猫はふと立ち止まり、満月に照らされた静かな夜空を見上げる。祭りの喧騒が去ったあとに残るのは、心の中に芽生えた"また来年も踊ろう"という小さな希望。 その一歩一歩は、哀愁と同時に未来への喜びを秘めて――新しい物語は、静かな夜から始まる。